1964年(昭和39年)9月28日、三島由紀夫『宴のあと』で、プライバシーを侵害されたとして有田八郎(元外務大臣)が作者三島由紀夫と出版元の新潮社を訴え、東京地裁がプライバシー侵害を認めた事件。三島由紀夫に損害賠償を命じる判決を出し、原告勝訴となる日本で初のプライバシーを認め、救済した事件。(プライバシーの侵害により、謝罪広告と慰謝料を求めた。一部認容(=80万円の損害賠償義務を負う)したが、一部棄却(=謝罪広告は適当ではない)とした。和解成立。<東京地判 s39.9.28 下民集15-9-2317>
ちなみに1月28日は、データプライバシーデーというのがあります。こちらは世界でイベントが開催されると言います。
民法709条。憲法13条
※小説「宴のあと」は、東京白金台の高級料亭「盤若苑」の女将畔上輝井(福田かつと言う名前で)と有田八郎(野口雄賢と言う名前で)との生活を描いたもの。
※有田八郎(1875~1965)新潟県生まれ。外交官、政治家、貴族院・衆議院議員、東大法学部卒。畔上輝井と昭和28年再婚するも、東京都知事選で借敗し、昭和34年に離婚。
※畔上輝井<あぜがみてるい>(1906~1989)長野県生まれ。
当時知事選出馬と離婚が、二人のスキャンダルとして報じられており、三島由紀夫自身もこれがモデルであることを述べているという。有田が出版取りやめを訴えたにもかかわらず出版した。小説のモデルが、本人とわからないまでに表現されていないことと、公人と雖も私生活報道の有限があり、小説の芸術性にもプライバシーの権利を踏まえる事である点。
参照;三島由紀夫『宴のあと』(新潮社)
伊藤正巳『プライバシーの権利』(岩波書店)
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