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離婚と不法行為の話

今や「性格の不一致」と言う理由がトップを占める離婚と言うのは、何分に一組は離婚すると言った時代です。
ですから、離婚を業務とする弁護士ばかりではなく、行政書士の中にも、「離婚」を扱っている人がいます。(勿論、訴訟前の段階でしょうが)


私は、離婚については、業務としても、相談1つしたことはないのですが、離婚の本を読むと、「そうなの?」と思わされることに出逢います。


その一つに、「夫婦関係が破たんしている場合の不倫」です。

➊一夫婦間において、既に婚姻関係が破たんしている間柄の夫婦のうち、どちらかが、不倫を行ったとしても、それに対して、もう一方の配偶者が、訴えて、慰謝料を不倫者双方又は、不倫相手に請求しても、棄却されると言う事です。

これが、普通、❷夫婦関係が破たんしていない夫婦間において、不倫関係があったときは、不倫した配偶者と、不倫相手のどちらかに、慰謝料を請求するものです。

そして、どちらかが請求慰謝料額以上の慰謝料を支払えば、それで終わると言います。

❷のケースと言うのは、一番基本的な不倫と慰謝料のケースでしょうが、➊は、既に、実質の夫婦関係がないと言う点を問うています。

即ち、形は夫婦でも中身は他人であるのと同じ状態であれば、他の人と不倫関係であっても、それに不法行為性はないと言っています。

どこか、おかしな理屈にも聞こえます。

未だいくら内情は破綻していても、法律上も夫婦である以上、不倫なら、やはり、不法行為が問われるのではないのかと思います。それが常識だと。

しかし、そうではないと言う点が【え?】としか思われません。

特段の事情がなければ、不倫相手は、不法行為責任はない」と。

不法行為とは、不倫をした配偶者とその不倫相手の事であり、2人は、共同の不法行為者です。

そこで、このおかしな話と思える点は、次のように理解しなければならない事を説明しています。

つまり、婚姻状態が続くとか続いていると言うのは、「(夫婦の)共同生活の平和維持のための権利や法的保護を持つ利益がある状態を言う」のであって、逆に、婚姻が破たんしていると言う事は、それらの権利も、利益もない状態であると言うのです。

簡単に言い換えると、「もう夫婦としては終わっているのだから、不倫しても、それを(あなたが)どうのこうの言える権利はない」と言う事でしょう。

が、「そうだとしても、不法行為責任はとれるのではないのか。いまだ法律上は夫婦なのだから」としか思えません。

分かりますが、これで、法律解釈論として正しいのかとも思います。




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行政書士 井原法務事務所
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