◀◀◀次の記事                                                         前の記事▶▶▶

領収書の話②

基本事項について

①相手先名・②金額・③日付け・領収完了の文➃受取者名・⑤社印・⑥担当者印・⑦領収書の連番番号・

このうち、①から④までは必須事項です。




①相手の名前は、受取人側で書き入れます。書き間違えないように。相手が同名の時等、流用されないとも限りません。又「上様」と言うのも本来よくありません。少額であれば、良いかもしれませんが、普通は、しっかりと間違いの無い相手名を書くべきです。ここは特に注意です。「税務調査?」を考えるべきです。

②の場合、「金」の後に金額を入れますが、間を開けて、後から、数字を入れられないようにしなければいけません。数字も、算用数字=アラビア数字を多く使いますが、漢数字の場合は、その数字を間違えない事や、その近くの開いているところに、アラビア数字も入れておきます。また、三桁ごとに、カンマを入れる事と、その位置を間違えないことも大事です。


   例)  金100,000円    ¥100,000-・・・・・・・〇

                     金 100,000円    ¥ 100,000-・・・・・・・✖

   例)  「金壱萬弐仟円也」の場合、右横ぐらいに、「¥12,000-」と書く。


    

③但し書きは必ず必要ですなるべく詳しく。これを、ごまかすのもよくありません。税務調査でも、不信を買うだけです。どの債務に対しての受領かを書かないと、後になって、債務が消滅していない等の揉め事になりやすいものです。其れと同じような事に、今時のクレジットの支払いには「リボ払い」と言うのがあります。毎月支払いが同じで楽なようですが、どの債務が終わったのかsさっぱりわかりません。いつまで支払えばいいのか、先が見えなくなり不安でしかありませんので、リボ払いはしないほうがいいのです。

日付も実際に受領した日が日付け日です。書いてないもの、ごまかしたものは、脱税や不正操作に依り、罰せられることにもなりかねません。又、間違ったりすれば、債権債務の関係に、間違いともなります。実際に受領した日より後の日付けであれば、債務履行が遅れたことになり、遅れた分の利息の請求をしたい時や逆に、受領日より前である時は、債務履行遅滞による利息請求をしたい場合にはできなくなります。

領収書の形などは自由ですが、「領収書」または「領収いたしました」の文言が必要です。

④住所と企業名は必須です。これも、明確でなければいけません。

「上様」とか「お品代」と言う抽象的表現であればなおさら、3Wをメモしておきましょう。誰に(誰と)who、何を(何に)what、どこでwhere使ったのか。

以上は証拠能力の一番高い部分です。間違えば裁判上・税務上問題となります。間違えないよう留意しなければなりません。

➄よく「社印の無きものは無効です」とあります。署名だけの領収書でも有効です。しかし、社名・社印が、初めから、印刷されているのなら、社名は署名ではなく、かつ、この社印は、捺印ではなく、記名にすぎません。初めから印刷されていることも多いものです。押印されていなければ、「これは、押していないが、有効かどうか」を一応聞いてみましょう。本来、重要な取引に関する領収書であれば、印刷ではなく署名捺印・記名捺印すべきものであり、そうしているものです。会社名が入っていれば、社印を押すのが普通ですが、実印でなくても少額なら良いでしょう。認め印でも、効果は同じでしょうし、普通の取引には、実印ではなく、ただの角印の社印も多いものです。ただし、拇印の場合も、記名押印の代わりともなるでしょうが、印鑑が手元にないとかの場合であって、金額が多い場合は、正式な印鑑とは認められないこともあるので、一時的な少額の預り証の時だけぐらいにすべきです。

⑥⑦は、会社の整理としては重要です。この場合、連番を入れることで、不正を防ぎ、また、間違った場合でも、捨てないで、そのまま、耳(左側に紙が閉じられている残りの部分)に閉じておくのが普通です。

⑥「担当者名・担当社印無きものは無効とする」ところもありますが、業務や品物によりけりでもあります。しかし、業務によっては、担当者印があることで、その業務についての責任の所在を明らかにすることで、クレーム時や、業務の進展の為にも遡及できる点は、非常に大きく大切なものであり、日付入りの担当ゴム印を、作っている会社も多くあります。

⑧割印は、不正及び社内整理用です。なくても問題はありません。少しメモ書きが出来るような空白の控えがある耳(市販の領収書にはほとんどありませんが、小切手の控えのような部分です)の場合は、そこに割印・記録することで、さらに、証拠性を持ちます。


【領収書の法律】

 領収書に関する法律には、下記があります。

・「民法486条(受取証書の交付請求)」
 第四百八十六条 弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求する
 ことができる。➡同時履行の抗弁権=領収書と引き換えでなければ、支払いを拒める。

・「私文書偽造罪」刑法159条~161条=正当な権限がないのに、作成・偽造・変造することに対する法律。

・罰則:3カ月以上5年以下の懲役。(作っただけで、使わなくても)


【仮領収書・預り証】

 効果は同じですが、本領収書を早く授受すべきです。
・領収書の保存期間=7年


【再発行】

 再発行には二重にならないよう注意が必要です。「再発行」と言うゴム印を作っ
 て押す企業もあります。また、再発行により、印紙を又貼り費用がかさむなど、企業には再発行の義務はないので、企業によっては、再発行をしないところもあります。

【参照】手形の場合におけるアラビア数字と漢数字が違う場合の法律

 <手形法第六条>

  第六条 為替手形ノ金額ヲ文字及数字ヲ以テ記載シタル場合ニ於テ其ノ金額ニ差異アル

      トキ文字ヲ以テ記載シタル金額ヲ手形金額トス

      ○2 為替手形ノ金額ヲ文字ヲ以テ又ハ数字ヲ以テ重複シテ記載シタル場合ニ於

      テ其ノ金額ニ差異アルトキハ最小金額ヲ手形金額トス

0コメント

  • 1000 / 1000


行政書士 井原法務事務所
TEL/FAX 058-241-3583