映画は目と頭で見るもの
タイトルから想像できるように、法律を映画を通して考えてみようというものです。
初めから、普段の生活とはかけ離れた法律用語ばかりの法律専門書にはとっつきにくいであろうから、ビジュアルものを通して、法学を学習しやすくしようというその目論見いや、目的は手に取るほどによくわかろうというものです。
中をのぞけば、最初抱いたような法廷ものばかりかと思えば全く違います。「チャップリンの独裁者」「プラトーン」「E・T」「レオン」、はたまた、「ジュラシックパーク」や「風の谷のナウシカ」まで紹介されています。娯楽漫画までがなぜとも思える選択です。
映画を通して、かくも世の中というのは、世界の事情や日本の国内外問題を法学の同一線上で思考すべき問題が乱立していることかと飽き飽きしてくるほどですし、かつ気後れさえします。
勿論、チャップリンものやプラトーンでも、社会風刺として・戦争犯罪としてなど、人権にかかわる究極論までを問いながら展開される中で、「人間」そのものの存在意義を醸し出そうとします。
言い換えれば、どのような映画も、実話であっても、創作であっても、所詮は、「人間とは何か?」を問うています。それらを、単なる娯楽だけとしてとらえるかどうかは、個人に任せるだけしかないというのが結論でしょう。しかし、監督が常に人間の裏側を世界の人に見せたいと願うところの映画は、多くの人に感動を与え、名画のひとつに列挙されていきます。
この本のように、法学と映画を比較列挙させる本が今までも少なからず出ていますが、そこにでている数としては多くありませんでした。
そんな変わり種としても、この本が法学勉強に・法学への関心をいざなっている本として面白いですし、他の専門書と肩を並べて、書棚に置きたいひとつだと思うでしょう。
文字ばかりしか詰まっていないという社会科学系の本に多いタイプの中で、嫌気のさせない本です。とにもかくにもビジュアル化で訴えたいわけです。それが入門期としても関心が注げるのです。
まとめ
毎日の生活の中で、私たちは、モノを売り買いすることが一番多いのが、衣食関係の店でしょう。「物を買ってその代金をその場で支払う」というごくごく単純な行為が、売買という法律行為を行っていることをあえて考えながらしているわけではありません。しかし、これが私たちが普段行っている法律行為だという点に視点を置くこと自体が思考の転換を余儀なくさせる世界へいざなっていくのです。(ここが、人の思考形態の関所です。これから興味関心をそそいで、先へ行くか、こんなの面白くもないと投げ捨てるか・・です)
これは「映画を通して法律的な思考を養いましょう」という本です。
但し、例えば、ここに列挙されている映画を全部見ながら、思考を重ねようとします。 しかし、法学の基本知識だけを取り上げて思考するにも、相当な数があるのですから、初めだしたら、ちょっとやそってで、読破した・全映画を通して法律的外観を考えてみたというような考え迄に行きつくのは簡単なことではないと気付くでしょうし、すぐに脳は疲労してくるでしょう。やってみればわかりますが、「ああでもない。こうでもない」と考えなければならないことが多すぎて、論理が整理できないからです。
こういうような本の読み方には一つやり方があります。「飛ばし読み」です。つまり、気になるところだけ読んで、そこだけ、読み返す。何も法学世界の全体像を頭に入れる必要が、この段階で必須ではないのですから。(=勿論このやり方では、法学の全体像を少しでもつかもうとするには、程遠いですが。)
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