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外国人との結婚(国際結婚)

厚労省の「人口動態調査」※によると、日本における婚姻数は1970年の102.9万人を境として、2020年には、婚姻数38.7万人、再婚者数13.9万人を合わせて52.6万人と減少の一途をたどっています。
そのうち国際結婚者数は、「2006年の4.5万件をピークに、2020年には、やはり約2万件と減少しています。そのうち、国際結婚全体の3分の2が、夫日本ー妻外国の組合せ。又、国籍別には、①夫日本ー妻外国の場合の妻の国籍は、2020年は7割程度がアジア諸国となっている➁妻日本ー夫外国の夫妻の場合の夫の国籍は、2020年は韓国・朝鮮(25.3%)に次いで米国(16.5%)が多い」とあります。
※厚労省HP 「結婚と家族をめぐる基礎データ」内閣府男女共同参画局 令和3年11月2日  https://www.gender.go.jp/kaigi/kento/Marriage-Family/5th/pdf/1.pdfより

        

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まず「法の適用に関する通則法」があります。

〇この法律は、『平成十八年法律第七十八号。法例(明治三十一年法律第十号)の全部を改正する。』したものとあります。

第三章(準拠法に関する通則)の第五節親族

(婚姻の成立及び方式)
第二十四条 婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による。
2 婚姻の方式は、婚姻挙行地の法による。
3 前項の規定にかかわらず、当事者の一方の本国法に適合する方式は、有効とする。ただし、日本において婚姻が挙行された場合において、当事者の一方が日本人であるときは、この限りでない。
(婚姻の効力)
第二十五条 婚姻の効力は、夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法による。


つまり、24条1項は、婚姻成立を、2項3項は婚姻方式を言っています。2項は「婚姻挙行地法主義」(結婚したところ、国の法律に従いなさいということ)と言われる。



2.日本において国際結婚をする場合

日本において国際結婚をする場合には、①日本の方式による場合と、➁外国の方式による場合の二通りがあります。 (市町村によって違いがあります) 

            

①日本方式による婚姻の場合                  

外国人が、日本方式の婚姻を成立するには、その人の本国の法律による婚姻の成立要件(婚姻できる年齢であるとか独身である等)を満たしていなければなりません。
その証明の為に、外国人については「婚姻要件具備証明書」(上記成立要件を満たしているという証明書)を提出する必要があります。

まず、外国の大使館・領事館で日本の結婚方式で行うに際しての必要書類を確認します。

【届け出る日】   届け出の日が婚姻の日
【届出る人】    婚姻する当事者2人
【必要書類】    婚姻届書(成人の証人2人の署名と押印。未成年者は父母の同意要)
          婚姻要件具備証明書※1とその日本語訳文 
          出生証明書とその日本語訳文
          国籍証明書とその日本語訳文(パスポートでも可能)
          届出人の印鑑
          届出人の本人確認書類(在留カード、運転免許証、パスポート等)
          戸籍謄本(届出地に本籍のない人の場合)
【提出先】     日本の役所及び外国の大使館・領事館(婚姻届け受理証明書等) 

※1 婚姻要件具備証明書を発行する制度がない国※2もあります。例)駐日中国大使館・領事館、代わりに「未婚証明書」か「未婚声明公証書」を本人や親族が出向いて取得。

これが発行できない場合に、これに変わるものとして、領事館が発行する「宣誓書又は申述書」というものがあり、これがその代わりに認められることもあります。これに対し、日本人の婚姻要件具備証明書の場合は、法務局にて発行されます。
また、発行できない場合、その国の婚姻法などの出典を明示した法文の写しと日本語訳文が必要とされることもあります。

※2 韓国・インド・パキスタン・バングラデッシュ



 

➁外国方式による婚姻の場合

外国の法律上有効に婚姻が成立し、その国が発行する婚姻に関する証書の謄本(婚姻証明書)が交付される場合は、戸籍に婚姻の事実を記載する必要があります。
まず、外国の大使館領事館で外国の結婚方式を確認し、外国方式の結婚手続きを進めます。

【届出の期間】   婚姻成立の日から3ヵ月以内に日本の役所に婚姻届けを提出
【届出る人】    外国人と婚姻する日本人
【必要書類】    婚姻届
          婚姻証明書(婚姻が成立した国で発行されたもの)とその日本語訳文
          戸籍謄本➨全部事項証明(届出地に本籍がない人の場合)
          外国人の出征証明書とその日本語訳文
          国籍証明書とその日本語訳文(パスポートでも可能)
【提出先】     その国の在外公館(大使館・領事館)叉は本籍地の役所



3.戸籍について

1.日本人が外国人と婚姻した場合には、外国人については戸籍は作られません。

・ただ、配偶者である日本人の戸籍にその外国人(氏名、生年月日、国籍)と婚姻した事実が記載されます。しかし、日本人が戸籍の筆頭に記載された人ではない時は、その日本人には、新たらしい戸籍が作られます。

2.外国人と婚姻しても日本人の戸籍上の氏は変わりません

・外国人配偶者の氏に変更したい場合=婚姻の日から6ヶ月以内であれば、「氏の変更の届出」をすることで外国人配偶者の氏に変更ができます。又、逆に、婚姻の日から6ヶ月が過ぎている場合には、家庭裁判所の許可を得れば、「氏の変更の届出」をすることで外国人配偶者の氏に変更することができます。



訳文:戸籍の届け出に添付する書類やその他の市町村長に出す書類で外国語で書かれているものは、翻訳者名を掲載した訳文をつけなければならない。

戸籍法施行規則63条「届書に添付する書類その他市町村長に提出する書類で外国語によつて作成されたものについては、翻訳者を明らかにした訳文を添付しなければならない。」

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行政書士 井原法務事務所
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