日本では、10月1日は法の日と定めらていますし、1日から一週間は、法の日週間と決められています。
それは、大正12年に成立した陪審法が、昭和3年に制定され、これにともなって10月1日が「司法の日」とされ、後に、この日を「法の日」と制定することによります。法務省HP「法の日」についてhttps://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho06_00791.htmlより編集
❐陪審法
・この陪審法とは何か?
陪審法とは、現在裁判員法に類似するもので、日本にもアメリカのような制度がかつてあったという事を知る人は、少なかったかもしれません。
陪審法とは、昭和3年~昭和18年迄施行されていた法律(大正12年成立)で、刑事裁判に限った制度でした。そもそも、陪審制度とは、英米が発端ですが、裁判官は量刑を行う・陪審員は事実の判断とその有罪無罪の決定を行うもので、裁判官は、事実の有無の答申を拘束しないものでした。独立していました。裁判官は12人いる陪審員の構成を何度でも変えることができました(アメリカ映画でも陪審員を交代させる場面が出てきます)
これは、民主主義と裁判への信頼確保を目指して導入されました。つまり、「裁判に国民が参加する」ことで、司法の独立が、国民からはなれる危険性を排除するものでもあるのです。
アメリカ導入時期 1787年。。。刑事・民事も。
イギリス 13世紀ごろ
フランス 1791年(英から輸入)・・・無実の多くの人が死刑➨2年間廃止
ドイツ 1840年代後半(1848年仏から輸入)・・・陪審制廃止から、陪審制と参
審制を導入
❐陪審制度の廃止
ところが昭和18年に一時廃止されることとなりました。戦後に再施行するでしたがなされませんでした。
「陪審法ノ停止二関スル法律」(法律第八十八号)昭和18年4月1日公布。
昭和十八年法律第八十八号
昭和十八年法律第八十八号(陪審法ノ停止ニ関スル法律)
陪審法ハ其ノ施行ヲ停止ス
附 則
①本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
②本法ハ本法施行前陪審手続ニ依ル公判期日ノ定リタル事件ニ関シテハ之ヲ適用セズ本法施行前其ノ裁判ノ確定シタル事件ニ関スル陪審法第四章又ハ第五章ノ規定ノ適用ニ付亦同ジ
③陪審法ハ今次ノ戦争終了後再施行スルモノトシ其ノ期日ハ各条ニ付勅令ヲ以テ之ヲ定ム
④前項ニ規定スルモノノ外陪審法ノ再施行ニ付必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
【廃止された理由】
・実績がのびず、費用や事務負担からますだけ。
・被告人がこの制度自体を喜ばしく思わなかったため、辞退する人が多かった。(今の陪審制
度に似ています)
・法律の欠陥※1
①陪審に係る事件の種類が極めて限定的(2条~7条)
➁裁判所は、陪審の答申が気に入るまで何回でも陪審の更新ができた(95条)
③陪審御採択した判決に対しては控訴の申立が許されない事(101条)
④二重名簿制(17条、23条)
⑤陪審更生手続きの煩瑣すぎた
❐裁判員制度
平成21年5月21日に始まりました
※1団藤重光「法学入門」筑摩書房P188
参照
・9/13は「世界の法の日」
・映画「12人の怒れる男」アメリカ
参考文献:
・「法と現代精神」J.フランク著(弘文堂)第十六章「基本的神話と陪審員」P251~P270
・「法社会史」神山安敏著(みすず書房)第十五章「陪審裁判制」P390~P404
・「法学入門」ラートブルフ著(ラートブルフ著作集・東京大学出版会)P189~P193
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