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社長交代と銀行

❶事業承継において、次期経営者の選択中に、社長が居無くなれば、どうなるのか、です。

居無くなるとは、ほとんどの場合「死亡」を意味します。
ここで言う「居無くなる」はそのことであり、借金で逃げると言うケースは、又全く意味を違えますので、それは別の機会とします。


さて、人の死もいつ訪れるかわかりません。
人生100年時代と叫ばれて、うつつを抜かしているわけにはいきません。
誰でもが、100才までも生きられる可能性は全くありません。
ましてや80才でも分かりません。貴方がいつまで生きられるかを見る概算的な目安としては、自分の家系の没年齢を比較検討すれば、長めな家系なのか、短めな家系なのかぐらいは分かるでしょう。
ならば、貴方も、先祖の没年齢から、逆算的に追っていけば少しは、先々を眺められるでしょう。
これは大切な未来の想像です。可能性がある未来図を想像できるからです。
これをやるかやらないかは、人生計画を立てる時の資料を見ない事です。
確実性のある資料を見ないのはもっったいないと思いませんか。
所が、多くの人はこれをしません。
せいぜい「ああ、いつかおれもこうなる?」ぐらいです。


それはさておき、本題に入ります。

遺言書で、被相続人存命中に株式・不動産・預貯金など事業承継に至るまでを取り決める必要があります。
ただ、例えば、遺言書があっても、遺言者より、被遺言者(ここでは、子供数人あるとします。被遺言者と言う言葉はここだけのものです)の誰かが、先に死亡した時は、その被遺言者に対しての内容(相続権利分)は、消滅します。
その時、その遺言にある相続分は法定相続になります。
そこで、今あなたの会社のトップの年齢はどれくらいでしょうか。
交代年齢で、一番多いのは、40代そこそこと言われます。
さすれば、その時の社長が、親であれば、その人は、60~70代が多いでしょう。高齢者の範囲です。
50を過ぎれば、体は老化の進捗度を増します。
経営者の交代が、昔は、他界が理由の大半であったものの、今は経営者の高齢化が大半を占めるとも言われています。


❷トップが亡くなると、銀行は目を見張ります。

普通に老衰とか、病気死亡としても、すでに後継者が決まって、それなりの対策がなされていれば問題はないでしょう。

それに、普段でも、銀行は、経営者の健康状態は見ています。当然です。お金を貸した相手なら、尚更ですから。

また、普段の雑談の中でも、保険の話もするでしょう。銀行は、保険の代理店も勿論やっていますが、生保の話は注意点かもしれません。

何か兆候があれば、今あなたに貸してある融資を始め、会社の問題調査を進めます。

経営者の交代が以前から、外部(金融機関・顧問税理士弁護士等の専門家・株主・債権者など)に公開してあれば、急な場合の交代でも、トラブルが少なくて済むでしょう。

その為にも、普段から、早め早めに、次世代の経営者について(人物・経営力など)出来るだけ詳細なデータを披露し、親密性を増しておく事がリスク対応の要です。

健康状態ばかりではもちろんありません。会社内外での人物評価・会社内の人事・取引先の変更・財務内容の推移などなど。


ただ・・・

逆に、都合の悪い情報は、粉飾決算などをしない限り、すべて会社情報をあからさまにしてしまわないことも大事な事とも言われます。

ネット社会で、全てをネット化しようとしていますので、個人情報は1ヶ所で把握できる社会になっていきます。

つまり、企業でも1ヵ所集中は全てにおいてリスクも伴う事を意味します。

メインバンクと言うのは有るでしょうが、サブバンクもいくつかは必要です。いくつかですが、勧められるままに、サブバンクを多く作っては良くありません。


又、メインバンクと言うものは簡単に変えられるものでもなく、変えるのが容易であってもならないものです。


メインバンクが変わると言う事は、あなたの会社に何かあったと当然推測されます。
サブバンクを変える時でも、何故変わるのかを、知らしめておくことが大切です。
ただ単に、企業の移転の為としても、何ゆえの移転なのか。


企業の売り上げ不振による店舗縮小など、不安要素は、銀行にとっての警戒事項だけではないのです。

勿論それでも、内部留保の多い会社なら、あまり重視されないかもしれません。

決算書の内容が良い=つまり、純資産が多ければ、「金は持っている、支払いには困らない会社」だからという分析の基、融資は受け安すいのです。

担保物件をたくさん持っているから、融資を受けやすいと言うのではないのです。


其れにはどうするか?

普段から、会社の決算内容をオープンにしておくことです。
そして中長期計画を説明しておくことです。


借りると言う弱い立場でも、飲み込まれてしまわないようにすることはいつでも同じです。


<追補>
・社長さん、勿論、生命保険には入っていますよね。出来れば、高額のがいいですが


<追補>2019.9.⒔

・社長が亡くなれば、直ぐ次の代表者が必要です。既に決まっている場合以外は、中小企業においては、社長の家族、とりわけ配偶者や子供に成るでしょう。
直ぐ切り替える必要がありますが、登記上も変えていないと、大きな業務は執り行えません。
また、次期社長が誰であり、その人が既に、銀行にもよく知られていることも大事ですが、たとえ、全てにおいて銀行が知り得ていたとしても、今までの融資に対しては、別問題とみるかもしれません。
故に、一括返済・繰り上げ返済などの請求があるかもしれません。
会社の経営状態が、思わしくないようなときは、容易に予測できるでしょう。

会社自体の借入金だけでなく、買掛金及び他の支払いや社長が会社に対しての貸付金があることなどの把握と用意できるだけの資金の準備を備えておかねばなりません。
会社としての借り入れ金や、運転資金を社長自ら建て替えるなどをしている事はあるものです。


参照:

<中小企業円滑化法 H20.5成立>
支援として3つある中のひとつに・・・。
⑶.金融支援=経営者死亡時などの金融支援
  ①中小企業金融保険法の特例
  ②日本政策金融公庫法の特例・沖縄振興開発金融公庫法の特例

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