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社会保険に入っていない外国人

一般に、社会保険(健康保険・年金・労災保険など)に、入っていないと言う外国人と言えば、観光旅行者等、短期滞在者としか思い当たることがありません。

先般も健康保険しか入っていないと言う人の話を聞きましたが・・・

1.社会保険と言うのは、外国人でも、日本人同様に加入が、義務付けられています。

・<適用除外企業>と言うのがある。

しかし、それには、物販・製造・加工・接客業・サービス業などの個人企業や、宗教関係においては、任意加入とされている部分があります。

収入が少ないので、収入から更に各保険が差し引かれることを嫌うと言う人も多いのは、昔から変わりません。

しかし、今や、社会保険に入っていないと仕事が出来ない建設業をはじめとし、従業員を1人でも雇用している場合は、個人でも、加入していないのは、企業としても立ち行かない社会であることは、言を待ちません。

個人や個人企業であれば、従業員は、「国民年金・健康保険」には少なくとも入っているでしょう。

「厚生年金」は、従業員数及び従業員の意向により任意なので加入していないこともあります。

又、「雇用保険」は従業員の1/2以上 「労災保険」は過半数の要望があれば加入しなければなりません。

これらは、従業員数や、企業規模にもより、本来当然加入しているとも思えるものでも「任意」である点、加入していないと、事件事故が起きた時には、法的責任が発生することもあるでしょう。

更に、年金については、国により、日本での支払期間も算入することもあるし(逆に、自国で受け取れない。算入しない国もある)、未加入では、老後の生活にも影響を及ぼします。

年金は、先般、その支払い期間が10年以上に短縮(H29年8月から)もされたことで、受給しやすくもなっています。

永住許可申請・帰化申請にも、健康保険は必要不可欠なので加入していても、年金は入っていない人もいます。

その時は、当然事情も聞かれますが、不利であることは否めません。

払っていない人に対しては、督促状が来るとの事。

その督促状が何度来ても、無視して払わないと、強制徴収に来る(日本年金機構の委託業者)とも言いますから、ただ事では済まないのです。

そうなると、在留期間の更新・変更(年金関係書類は出しませんが)に影響し、就労ビザの更新も出来なくなる可能性があります。

払えないなら払えない旨の免除申請が必要なのです。

それで通ればいのですが、払えるだけの収入があるのに払わないと言うのはダメです。(免除されてもその分受給時には減ります) 

<免除制度>

 ①一般の人の免除=全額免除・半額免除・1/4免除・3/4免除 
  又は、納付猶予制度あり((20~50歳未満)
 ②学生=「学生納付特例」
 ➂会社退職者=『失業による特例免除」
 ④法定免除者=「障碍年金1級又は2級受給者・生活保護の生活扶助受給者・ハンセン病療養等入所者
  ➥ https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20140710.html


・一つ考え方の違いと言うのがあります。
日本人であるならば、今や、夫婦共働きと言うのは、普通です。
でないと、家計が苦しいとも言う事態は切迫しているのです。
それが、外国人の場合、共働きしていないと言うのも普通にあります。
それで年金が払えないと言うのは、文化・慣習の違いと言う理由にはならないでしょう。


・帰化や永住許可には、「生計維持が出来る」というのがあります。
其の点だけを捕らえてみても、収入が少なければ、高齢者・身障者や特別な事情がない限り夫婦共働きをするのが当然の成り行きです。
それでも、年金を払う事が出来ないと言うなら、致し方が無いわけです。


2 雇用されたのが1年の外国人でも出る「一時金」

・雇用されたのが1年の外国人でも、年金に加入していれば、「脱退一時金」と言うものがもらえる制度があります。

これは、短期滞在者(観光旅行などの短期滞在ではなく)に対して、「社会保険に加入している外国人が、日本から出国(帰国や他国移住など)した場合、年金保険料の一部が払い戻されるものです。(条件有り※1)」

そして、転出届を出せば、住民票の提出日以降に請求できます。(日本の住所がなくなった日から2年以内に請求・また、転出届と同時に、国民年金の場合は、「国民年金資格喪失届」も提出します。)

ただ、これをもらうと、今までの年金支払い期間は、自国での年金期間には算入されなくなると言われます。

また、10年以上の受給資格期間のある人は、請求(貰う)できませんが、将来、日本で老齢年金がもらえる。

この「社会保障協定」(協定している国は、現在20か国。ほぼ先進国)のある国であっても、貰うべきか貰わないほうが良いかは、注意が必要です。

しかも、算入と言うのは、「期間」だけであって、支払った金額も算入するのではないので、母国で支払った分は、算入されない=貰えないと言う事です。



※1【一時金の条件】

・日本国籍がない事

・国民年金台1号被保険者保険料納付期間が6ヶ月以上ある事。

・国民年金の被保険者ではない事。

・老齢基礎年金等の受給資格期間を満たしていない事。

。障害基礎年金を受けたことがないこと

・厚生年金・共催組合年金などの期間が合計6ヶ月以上ある事(厚生年金などの時)

・老齢厚生年金などの年金の受給権がないこと(厚生年金などの時)


※一時金の金額式

被保険者であった時期間の平均標準報酬額x支給率(係数)


参照:日本年金機構HP

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/sonota-kyufu/dattai-ichiji/20150406.html




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