最初に一言申し上げてさせて頂きます。
私は法曹関係者でもなければ、経験者でもないので、この種のお話をするのは、大変憚れます。
法曹関係者からすれば、「素人風情の知ったかぶり」ぐらいでしょうが、昨今の特定行政書士制度にもある如く、司法界に少し関係してきている事を思えば当然行政書士もこの種の話は勉強する事(すべき事)なので、満更素人風情の話の範疇でもなくなってきます。
とは言え、あえて素人の話として、書いております事ご了承下さい。
さて、「法廷技術」と言えば、一般の人には、裁判に関係しない限り無用のものであるとの認識しかないかもしれません。
刑事事件をはじめとして、民事でも、裁判を経験又は傍聴するとなると、いかに、弁護ひとつで、人の運命までも変わってしまう事かと、思わざるを得ない機会に出逢う事にもなります。
ここでは、事の良し悪しのひとつは、弁護人や検事の腕にかかっていることを知りえるのです。医者と同じです。
そして、それらは、決して、テレビドラマだけの世界で見るものではないのです。
「法廷技術」に関しては、今は、色々出版されています。
僭越ながら、私事ですが、持っている本をあげて見ますと下記の様なのがあります。
「法廷技術」戒能通孝(岩波書店)・・・外国の裁判事例を多く取りあげています。
「弁護の技術」ストライカー(日本評論社)・・・最も権威のある本の1つとされる
「反対尋問」ウエルマン(旺文社文庫)・・・外国の証言の重要性を述べた名著
「民事尋問技術」加藤新太郎編(ぎょうせい)・・・民事訴訟の尋問技術について
法廷における言論闘争は(法廷での弁護側・検事側の発言をそのように言ってもいいかと思います)、事実と真実の追及にあるものだと信じ切っているのが誰もの思いでしょう。
しかし、そこには、「隠された事実=真実」や「いわれなき偽証」などで覆い隠されることは、自己の利益のみ主張する事の多いことを知らせるばかりが現実だと憤慨することに終始するでしょう。
これを読むにつれて、法曹と言われる世界の実像を垣間見ることもあります。
上記の中では、最後の「民事尋問技術」が、日本の裁判に沿った解説なので、他のものよりリアル且つ有益でしょう。
但し、専門用語がいっぱい出てくるので、難しいです。
一度でも、法廷現場を経験することがあれば、この種の本を一読する事は、参考になるものと思います。経験する前の準備としてでも、読まれてはいかがでしょうか。
そしてまた、この種の本を読むに際しては、「裁判」「裁判所」自体についても知る必要があります。
特に「裁判」のしくみを概観だけでも知っておかないと、裁判の流れを追えないでしょう。
若し「日本の裁判所の歴史」に興味が湧くのでしたら、長野県松本市の「日本司法博物館」を見学されるのもいいでしょう。裁判所の開設時期からの明治における「弁護士と検事の立場」の違いが、壇上の高さにも表現されているのを見ます。
音声ガイドとして、「明治の裁判の進行」が聞けます(今聞けるかな?不確かです。)
*「訴訟のはなし」兼子一、「入門 訴えと裁判・執行」野間繁
「裁判所へ行こう」は、必須です。
もっと簡単に読むには、伊藤整「裁判」や小説を読んだ方が分かりやすいでしょうが、下記の誤判を扱った事実物を読む方が必要でもあります。
又、企業人がが出会う裁判として「交通事故・相続・労働裁判・近所関係・傷害事件など」が出てくる方が、多いでしょう。これらに関しては、実務判例書を読むのも必須でしょう。
更には「誤判」についても、関心が向いてくるでしょう。
これについても、多くの本が出版されています。
この時には、やはり、史上有名な裁判物を読むのが必須でしょう。
世界的に、必ず出てくるひとつは、アメリカの「サッコ・バンゼッテイ事件」があります。
日本では、免罪最大と言われる「袴田事件」や「免田事件」「名張ぶどう酒事件」「松山事件」・・・など一杯一杯あります。
「誤判」について知れば「死刑制度」についても当然関心が向きますが、ここではそれに触れません。また別の機会に触れたいと思います。
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