法律は、何度でも新法制定・法改正・削除・廃止・停止などを経るものですが、そこで使われている法律用語も、時代とともに変わることもあります。
<例>
・禁治産者、準禁治産者➨禁治産者は成年被後見人に、準禁治産者は被保佐人。1999年12月8日民法改正により廃止。禁治産者は、精神障害があり、財産管理ができない人で、後見人をつけられた。準禁治産者は、心神耗弱者、盲聾唖者の人など法律行為に支障が出る人や浪費者のことであるが、差別的用語のため廃止となった。
・囲繞地(いにょうち)通行権➨「公道に至るための他の土地の通行権」(民210条)に変わった。公道に通じていないある所有者の土地を囲んでいる周囲の土地のこと。平成16年4月法律147号により廃止変更。しかし、不動産業界では今も使われている言葉。
・破産宣告➨破産手続き開始決定(平成6年年6月2日の破産法改正により変更・破30条)破算手続きを取れば、会社すべての債務は免除される。つまり、裁判所の判断により、破産手続きを開始すれば、その時から、会社の財産をお金に換え(破産管財人による)、債権者に割り当てられ、返済の残りは、免除されることとなる。
・瑕疵担保責任➨契約不適合責任 (令和2年4月1日施行改正民法)~旧民570条566条~
・売買・請負に関しては、売主・請負人の責任が変わった。名称変更と買主の権利拡充。
瑕疵担保責任(故意・過失の有無に関係なく損害賠償責任を負う)に対して、契約不適合責任では、故意・過失があった場合のみ損害賠償を追う。引き渡した目的物が、契約内容と異なる時に、売り主側で責任を負担する。
つまり「(隠れた)瑕疵・瑕疵担保責任」という用語廃止➨「(適合しない)契約不適合・契約不適合責任」という用語に変更。目的物に不具合があった時、買主の救済手段が広がる。
言葉ではなく制度そのものが廃止・・・
・会社整理➨制度廃止。1938年(昭和13年商法改正で決められた)2005年(H27)に制度が廃止された。会社破綻寸前の会社が破綻をしないよう裁判所の監督下で会社再建を目的とした手続きのこと。
廃止法は多いですがその一つ・・・
・和議法➨民事再生法(平成11年法律第225号)。破産予防の為に行う強制和議。和議法の基本部分が継承され改善したのが民事再生法。民事再生法の2000年4月1日施行に伴って廃止された。
又、廃止ではなく停止された代表的な法として、「陪審法」(1928年施行)があるといいます。いわゆる、西洋の陪審制度。日本にもあったのかと思える法。ちなみに停止された法はこれを含めて4っつとあります。
次のものは、医療用語としての変更で、法律用語の変更とかではなく、変更用語を使うといった状態。(医学界でも、内容的に問題視もされているようです)
・精神薄弱➨知的障害
・精神分裂病➨総合失調症
これらは当然医療用語とは言え、法律界でも、同じつかわれ方がします。
古い用語を今の時点で使うと、法的に効果がなく、過去の条文に相当した法律文書となり、法律効果がなくなり、内容が無効や逆の意味になりやすいので、古い法律用語は使用してはいけないのです。
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尚、法令の用字用語については、文化庁HPの下記ページ https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kakuki/01/bukai06/02.html
「法令の用語用字の改善について」について述べられています。(そのまま掲載)
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