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内なる国際化の加速

経済産業省「グローバル化・経済安全保障」(2023年4月)
1.全体概要
2.新たな対外経済政策の在り方
3.今後の海外展開支援策の重点
4.内なる国際化の加速

の「4.内なる国際化の加速」において、掲示されている見出しのみを取り上げました。

事業拠点に関する日本の評価
⚫ 外国企業への調査によれば、研究開発拠点としての日本を高く評価。
⚫ 先進国間での比較では、日本は、インフラ、市場規模、社会の安定性、消費者の所得水準等が「強み」である一方、英語、事業活動コスト、税率等に課題。
⚫ これらの課題への対応を含め、生産性・イノベーション向上、所得・投資の好循環を産み出すための「内なる国際化」を進めることが重要。


対日M&Aの活用や外国資本の投入に基づく日本企業の経営・成長強化
⚫ 海外資本を活用した対日M&Aは、下記の観点で、日本企業の経営課題の解決や成長の加速に有効。
①グローバルな知見・ネットワーク獲得による、経営財務管理の高度化、組織体制強化
②新しい人事評価制度や人材交流等による、従業員のモチベーション向上、グローバル人材の育成強化
③海外資本のネットワークを活用した海外販路拡大、海外で先行する商品等の活用による品質向上
⚫ そこで、対日M&Aを日本企業にとって選択肢の一つとするため、対日M&Aを実施した企業が直面していた課題、経済安全保障を含む留意点やメリットとともに、20の具体的事例をまとめた事例集を作成


「内なる国際化」に向けて
⚫ 「内なる国際化」に向け、外国企業や高度外国人材が魅力を感じる環境の整備が必要。
⚫ そのため内閣府取りまとめの下、今春に海外からの人材・資金の呼び込みのためのアクションプランを策定予定。また、高度外国人材の受入れ促進に向け、法務省は、経済産業省の協力の下、「特別高度人材制度」※を創設。他方、人材獲得競争が激化する中、各国は様々な優遇措置を実施。
※高度外国人材の中でもトップレベルの能力のある者の受入れを促進するため、現行制度のポイント制は残しつつ、シンプルに学歴又は職歴と年収が一定水準以上であれば、ポイント制によらず在留資格「高度専門職(1号)」を付与する制度。優遇措置も新たに拡充。


(参考)高度外国人材の受入れ状況
⚫ 専門的・技術的分野の在留資格を有する外国人労働者(いわゆる高度外国人材)は約48万
人(外国人労働者全体の26%)。技術・人文知識・国際業務が30万人でその大層を占め、高度専門職は約1.7万人。
⚫ 日本の産業競争力を強化し、経済社会に広く裨益する観点から、また、同志国との相互交流や、アジアの未来を協創する観点からも、高度外国人材の受入れ拡大は重要。


(参考)高度人材の獲得競争が激化
⚫ 2021年の高度人材の需給状況は、欧米等先進国の多くで需要超過。特に、我が国は台湾と
共にトップクラスの需要超過。他方、東南・南西アジア、アフリカでは供給超過の国がある。


(参考)我が国の人材競争力
⚫ 仏ビジネススクール(INSEAD)の「世界人材競争力調査」に拠れば、我が国の人材の総合的な競争力は、G7で6番目。アジアでは2番目ではあるが、シンガポールには水をあけられている。
⚫ シンガポールとの比較でみると、海外からの頭脳の獲得、労働生産性等において、大きな差あり。


(参考)海外駐在員からみた我が国の評価
⚫ インドネシア(2位)、台湾(3位)、ベトナム(7位)、タイ(8位)、シンガポール(10位)など、アジアには外国人駐在員が魅力を感じる国々が多数存在。他方、我が国(47位)は、香港(50位)とともに最下層。
⚫ 我が国の評価が低い主な理由は、ビジネス文化・労働慣行に加え、言語、デジタル化、外国人対応(住居探し、銀行口座など)の不満が中心。


「英語化」の推進を通じた外国企業の対内直接投資・事業活動の一層の促進
⚫ 外国企業から見た日本のビジネス環境の障害は「英語」。行政においても、法令・制度等に関して、英語での情報発信を推進すべき。
⚫ 法令について、法務省取りまとめの下、順次英語化を実施。加えて、精度の高い英訳が求められる規制関連制度についても英語化を実施。また、JETROは、外国企業に対して、現地語での相談窓口設置や情報発信等の取組を実施。
⚫ 今後、G7在日商工会議所連絡会議(仮称)とも連携し、ニーズを把握し、更なる英語化に向けた取組をすすめる。


(参考)高度外国人材の受入れに係る「新たな制度」の創設について
~特別高度人材制度及び未来創造人材制度の創設~


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私論
この中で気になるのは、競争力に勝つため・グローバル化に対応するために必要とされるひとつとして「高度な外国人人材」の受け入れのための在留緩和策・優遇制度の創設や「我が国の評価」と「英語化」についてです。

その日本評価が低い理由に、「外国人対応の低さ」が一番にあります。それに対応するかの如く、法令をはじめとした各分野での「英語化=英語翻訳通訳化の促進」が急務であると言います。これは、今に始まったわけではないですが、世界が、英語を標準語・第二外国語とする国の多い中で、日本においての日本語の難しさと英語対応ができていない現状が原因であることは明白です。
すべてにおいて、外国人対応が遅れているのは、「英語が話せない・英語説明がない」ことに起因しているという一言に尽きます。(歴史的には、島国という地理条件・陸続きの国々ならではの他国人との文化交流のなさや鎖国なども要因ではありますが)

「住居探し、銀行口座などの不満」には、物価が高いというのもありますし、日本側から言えば、日本語ができない外国人・信用度などがあります。また、逆に外国人側から言えば、英語説明がない書類や人材がないこともあります。お互いに難しさを表している現実です。


つまり、これに対応するためにも、今後益々、英語のできる人材こそがより一層の急務であり、できる人しか生き残れないと言うビジネスでの人材淘汰が加速されます。

労働人材不足を補うための外国人労働力の確保にも、多言語対応も必要ですが、まず英語化された文化表示がどこでも情報発信されているという国作りに邁進するのが先です。それは、日本語を少しでも優しくして、外国人に教える以上の必要性を問うているように思えます。

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※1経済産業省「「グローバル化・経済安全保障」(2023年4月 通商政策局・貿易経済協力局) https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/shin_kijiku/pdf/014_04_00.pdfより一部抽出して掲載


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