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「下山事件」~最後の証言~ 柴田哲孝著 📖

この戦後起きた下山総裁事件は今なお謎の事件として知られているもので、その死因には戦後という時代性が多くのしかかってきます。

事件内容
・1949年(昭和24)7月6日 初代国鉄総裁であった下山定則氏が、東京都足立区5反野の常盤線の千十駅と綾瀬駅の中間地点にて轢死体で発見されました。
その死因が、自殺なのか他殺なのかわからぬまま現在に至っています。


戦後史最大の謎として、この事件は、色々な真相がうわさされたのです。
当時国鉄総裁として、国鉄合理化の基、人員整理を断行しようとしていたことへの報復殺害とか、それに悩んだ挙句の自殺、またGHQ統治下でもあり、GHQ関与説などもあります。
且つ又、当時は、国鉄関係の事件として、三鷹事件・松川事件なども起きました。これら三つを合わせて「国鉄3大ミステリー事件」と言われます
国鉄の10万人規模の大量解雇という要因が発端であると誰もが考えてもいました。
結論的には警察は自殺説をとりましたが、明確な断定発表がないままに捜査打ち切りの為に余計に未解決のままの事件として今なお迷宮入り事件となりました。
この本はそれを追った多くの出版本の中では一番の読むべきものとして推奨されています。
やはりこの種の本は、ジャーナリストが事件を追って拾い集めた多くの資料から推測される内実を分析するほうが真相をより正確に解き明かすものと思われます。
そもそも著者の身内の事件への関係が書かれています。
死体解剖の知見の違いや、GHQだけでなく、旧731部隊、関東軍他軍部、右翼左翼、下山の祖父が在籍した亜細亜産業なども出てきます。


どの時代においても、国の各トップに居れば、国民からの反動が多くなることは枚挙がありません。たとえ、多くの国民に支持されていたとしても100%の支持などはありえないので、反乱分子は必ずいるものです。
彼らによる何かしらの敵意が多かれ少なかれなされるのは承知でもありますから、政府要人の地位にあること自体危機管理が必要です。
それは、先般の安部首相暗殺をもってすれば明らかなることは、令和の時代になってもあるのだと日本国民の心に刻まれたばかりなのです。

これら国鉄事件に関する書を読むに際しては、当時の日本史を紐解くことを先に、または同時進行することでより深く思考することに糧となることは言うまでもありません。
この本・この事件に関心が持てたなら、この後には、上記の「三鷹事件」や「松川事件」を扱った本を読むことをお勧めします。これらについても当然ながら多くの本が出版されています。
戦後間もない日本故に、動乱おさまり止まぬ時代であったことは容易に想像されます。
これからの日本再生の中にあっていろいろな意味での「整理」がなされていくのです。
多分に高度成長時代と言われるまでの中まで続いていくのではないでしょうか。


また、少し前、NHKで、ケネデイ大統領暗殺60年特集番組を放映していましたが、ケネデイ暗殺も、色々世界に問われました。ましてや弟ロバートケネデイも5年後に暗殺されました。世界から愛されていた人でさえ、それを嫌う人がいることは確かなのです。


これを「出る杭は打たれる」と評していいことはないのです。つまり、いつの世も、「真実は捻じ曲げられる」のが事実であり、必ず、どこかに悪事がはびこっているのです。
このような世界である限りというより、人というのはいつまでたっても本音が変わらないのです。



歴史は、時間の流れの中で、形を変えて同じような惨事が起こりますが、今に始まったことではないのです。形や中身が違うので、分からないだけで、同じ過ちが続きます。
そして、よく言われる言葉のひとつが「二度とこのようなことなないように」です。




※「下山事件」柴田哲孝著(祥伝社)初版2005年出版

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