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「多能工」ってご存知ですか?

1「単横行・多能工」とは

本来、「単能工」とは、製造業における一部門のみの作業を担当する工員を言います。それに対し、「多能工」というのは、複数の作業を行う工員を言います。


①「単能工」のメリット・デメリット
・メリット :専門性を持っているので質が高い
      ・1つのことなので習熟度が速い➨大量生産にも効率が良い
・デメリット:ひとつの業務のスペシャリストである以上、全体の流れは見えない。
      ・全体の流れがわからないので、生産の流れに支障が出ることもある


それに対し、今は、多品種少量生産の時代なので、「多能工」が必要視される。


②「多能工」のメリット・デメリット
・メリット :需要に合わせた生産ができやすい
      ・業務の平均化=従業員が色々作業出来る為、多忙時期・暇の時・人材不足時に
      ・チームワークが向上=単能工の様に担当業務だけでなく幅広く関心がある為、
       チームワーク向上推進に貢献
      ・業務の可視化≖業務全般の把握から、問題個所の修正訂正がわかりやすい時な 
       どに対応できる為、労働時間削減・業務負担削減効果がある
・デメリット:多能工の育成に時間がかかる
      ・モチベーション(集中力)の低下につながる

                          

                       

即ち、従来の様に一部門だけの作業者では、昨今の様に、労働者不足にあっては、工程に穴が開いてしまうのです。
また、労働改革の政府要請の中にあっては、残業時間・基本労働時間以外の長時間労働の廃止や、基本時間内の労働で切り上げることにより、労働者の心身の健康の確保を要請されています。
それはそれで大変重要です。又、サービス残業に繋がらない様にも貢献します。





2 注意が必要

しかし、最大の問題は、時間内に作業を集中せざるを得ないこと・ロボットなど機械導入で人材不足や、生産性の向上の為に一部を賄うことが言われますが、上記メリット・デメリットにあるように、多能工もその方法がひとつとしても、人材不足の現場を他の作業員が担当すれば、複数の作業現場の責任と専門性が問われます。

建設現場でも多能工の推進がなされますが、大手企業のサラリーマンの様な数年製造➨その後数年営業☚その後数年総務というような職種変更が変わるパターンを言っているのではないでしょう。サラリーマンのような職種変更は、その職種ひとつに数年専業出来るものです。(最も個人企業や零細企業では、あれもこれもやる・やらざるを得ないことが多いのですが)

ところが、建設現場での「多能工」発想は、同じ人材不足の供給に応じるといっても、同じ現場や異なる近くの現場で、『今日は大工を、明日は誰かがいないので電気工事を』又は「午前は大工・午後から内装軽量作業』というような作業を求めているのです。

それでは、①専門性がなくなる②責任を複数持たねばならない③責任が持ちにくい④あっちもこっちも多忙になる➄心身ともに疲労が増える。⑥雑な仕事がでやすい 

つまり、企業側にとっては、「何でも屋」に近い人が居れば助かるが、反対に、「何でも屋」にはなれないし、あれもこれもやらせれば、専門の工事が「丁寧・正確・迅速」などが薄れやすいことは当然の結果となりやすいはずです。

・又、建設現場というのは、各企業の職人の共同作業なので、全体の流れ・監督は、元請の監督の仕事です。各下請け企業内での複合職種というのは少ないのです。

製造業は、工員であり職人であるとしても、サラリーマン体制の一企業です。それに対し、建設業は元請以外、各企業は下請け体制下の職人集団がほとんどです。中には、大工だけ・左官だけというのが多く、3っつも4っつも許可をもってやっているのはほとんどは、元請であって、下請けは、単一の職種の職人がほとんどです。そこには、「製造業の多能工」と同じようなシステムには成りにくいでしょうし、育成も難しいでしょう.

・建設業の職業は、どれも2年・3年と数年で一人前になれるような職種は、ほとんどありません。大工などはその典型で、5年10年と軽く掛かります。
勿論製造業現場の職種でも、機械ではできない特殊な仕事があります。その職種も大工同様に年数がかかるのもありますが。
つまり、一企業で一つのものを作るというのが基本的に製造業であり、各専門職種企業が一つの建物や構造物を共同で仕上げるのが、建設業である点から言って、同じものを作るといっても違うのです。



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行政書士 井原法務事務所
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