中國では土地は国家の物であり、国家の所有以外は農民の所有物であるとされ、一般に土地売買はできないと言います。それゆえ昨今は中国人による日本国土の売買がかなり盛んにおこなわれていますが、それが我が国の問題ともなっています。
さて、相続土地国庫帰属制度とは、相続、又は相続による遺贈によって取得した土地(宅地・田畑・森林など)を使わないので要らない時に、国に返還する制度であります。
2023年には、1年間で150万人の人が亡くなり、相続人がおらず国庫に帰属した相続財産は、768億9444万円で、2013年以降最多とあります。
今この制度の実施や、相続土地登記の義務化(2024年4月1日開始)により、司法書士の相談は、とても舞い込んできていると言います。
そもそも相続人がいないとか、相続人全てが相続財産を相続放棄すれば、相続財産はすべて国の物になります。
正確には、「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和三年法律第二十五号)」による制度です。全17条からなる。
1メリット:
➀本制度開始(令和5年4月27日)前の土地でも利用できる。
②相続で、土地の共有持ち分をした共有者は、共有者全員の申請で制度利用ができる。
③引き取ってくれる相手が国なので安心だし、引き取り手を探す必要がない。
④国の要件に見合えば、国は引き取らねばならない。
➄管理の手間暇や維持管理費が不要になる。
⑥相続財産問題が減る。
実は。一番肝心なのがこの国の要件に当てはまるかどうかが問題なのです。
2デメリット:
➀時間がかかる=審査期間が基本8カ月だが、実際1年ぐらいらしい。
②カネがかかる=国に返すのに、負担金として原則20万円を払わねばならい
・この制度を利用して申請すれば、上記の負担金20万円は30日以内に納めなければならない。(10条1項及び3項)
③どれもすべて引き取れるわけではない≖要件に見合わない土地は引き取れない
3要件とは、
(承認申請)
第二条 土地の所有者(相続等によりその土地の所有権の全部又は一部を取得した者に限る。)は、法務大臣に対し、その土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認を申請することができる。
2 土地が数人の共有に属する場合には、前項の規定による承認の申請(以下「承認申請」という。)は、共有者の全員が共同して行うときに限り、することができる。この場合においては、同項の規定にかかわらず、その有する共有持分の全部を相続等以外の原因により取得した共有者であっても、相続等により共有持分の全部又は一部を取得した共有者と共同して、承認申請をすることができる。
3 承認申請は、その土地が次の各号のいずれかに該当するものであるときは、することができない。
一 建物の存する土地
二 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
三 通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地
四 土壌汚染対策法(平成十四年法律第五十三号)第二条第一項に規定する特定有害物質(法務省令で定める基準を超えるものに限る。)により汚染されている土地
五 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地
(承認)
第五条 法務大臣は、承認申請に係る土地が次の各号のいずれにも該当しないと認めるときは、その土地の所有権の国庫への帰属についての承認をしなければならない。
一 崖(勾配、高さその他の事項について政令で定める基準に該当するものに限る。)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの
二 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地
三 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地
四 隣接する土地の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地として政令で定めるもの
五 前各号に掲げる土地のほか、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地として政令で定めるもの
つまり、
⦅国が貰っても、そのままでは使えない土地はいらない》
という事
その他損害賠償(悪意で承認されたり)や罰則が設けられています。
なお、申請者は、所有者自身と3士業(弁護士、司法書士、行政書士)による代行のみです。
・審査手数料≖土地一筆14,000円
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