次の記事                                                              前の記事

気になる言葉「日本臣民」

「日本臣民」

「臣民」とは,臣下における人民(国民)であり、君主国国家の国民という事。そもそもこの「臣下」とは、<君主に奉仕する者又は、家来>とあります。つまり、「天皇に仕える国民」であると意味します。

現代では、「国民」は使いますが、「臣民」という言葉は、使われていません。言葉自体に封建制を感じますし、明治ではなおのこと、帝国憲法下の基での天皇と国民の位置関係を明示しています。それは、日本国憲法上においての天皇の位置を明示しているのとは180度違う位置関係にある事になります。

・大日本帝国憲法 第18条 「日本臣民タルノ要件ハ法律ノ定ル所ニヨル」

明治憲法は、欽定憲法すなわち、天皇主権の憲法であるのに対し、新憲法は、民定憲法すなわち、国民主権によって制定された憲法である点に変わりました。

・大日本帝国憲法  第1章第3条 「天皇ハ神性ニシテ侵スベカラズ」

・日本国憲法    第1章第1条「天皇の地位・国民主権」「天皇は、日本国の象徴であり、日本国民の象徴…」

としています。この「象徴=symbol」こそが、民主国家の表れとされるひとつです。

即ち帝国憲法(明治憲法)の天皇の神性は、否定されています。※1

 敗戦により、天皇制については、天皇制存続論・廃止論が戦争勝利国アメリカをはじめとした西欧列強だけでなく、日本国内でももめたことはご承知の如くです。


ちなみに、「憲法義解」を著した伊藤博文によれば、序文において、君主と臣民を合わせた「君民」と言う言葉を使っています。そして、其の第3條の注釈としては、「天地剖判(ほうはん)して神聖位を正す」とありますが、つまり、その意味は、「天と地が初めて分かれ開かれた時に、天皇の神聖な地位が決まった」と言います。※2


※1参照「全訂日本国憲法」宮沢俊儀著の6頁「天皇主権ないし進捗主権の否定によって、これまで天皇がもっていたと考えられた神性は全く捨てられた。~天皇は、自らの神性を否定したが・・・・」

※2参照「憲法義解」伊藤博文著(岩波文庫)P21.P25


0コメント

  • 1000 / 1000


行政書士 井原法務事務所
TEL/FAX 058-241-3583