1家族信託
・成年後見制度の問題点に対して注目度を挙げているのが「家族信託」というものです。
・家族信託とは、信頼のできる家族や知り合いに、財産を信じて託す制度です。家族信託では、「委託者」「受託者」「受益者」の三者がいます。
信託する人を「委託者」と言い、信託を受ける人を「受託者」と言います。利益を受ける人を「受益者」と言います。この「委託者」の財産を「信託財産」と言います。
なお、受益者は、委託者と同じ人物であることもあれば、別の人を選ぶことも可能です。又、受託者は誰でもなれますが、未成年者や判断能力の不十分な人など成年被後見人や被保佐人などは受託者にはなれません。
2成年後見制度について
・成年後見制度とは、後見人が、判断能力のなくなった人の財産や権利を保護する制度。
成年後見制度の問題点などのについては、下記をご覧ください。
参照:「成年後見制度知っておきたい基礎知識と問題点及び今後どうなる? 」
3家族信託のメリット・デメリット
<メリット>
➀本人が判断能力がなくなった時や死亡した時でも財産管理が可能。
➁受益者を決めるので、円滑な承継ができる。
③遺言の変更はいつでも可能だが、信託の変更は原則受益者の合意が必要である。
④財産の移転がないので、名義を変更しても、贈与税・譲渡所得税がかからない。
➄名義の書換時の「登録免許税と不動産取得税」が売買や贈与の最大15分の1である。
<デメリット>
➀本人の判断能力がある時しか契約を結べない
➁信託対象が「財産」のみなので、生活面等身上保護はできない。
③受益者が、固定資産などの納税を行わねばならない。
④信頼のおける家族や身内・友人・法人企業などが必要である。
➄信託財産で出た損失は、委託者の所有財産との損益通算及び翌年以降への繰越控除はできない。
➅借地の場合は底地権(地主が土地を貸す権利)者の承諾やローンがある時は担保権者の承諾が必要となる。
4家族信託の流れ
例)父が不動産を所有している場合
➀家族内での話合い(財産や財産管理方法など)➨受託者を決める➨息子を受託者にする
↓ ↓ ↓
➁信託書の作成
受託者息子=不動産を管理運用する権利がある
委託者兼受益者➨父=利益を受ける権利がある(賃料・売却代金など)
↓ ↓ ↓
③信託財産の名義変更・信託用口座開設↓ ↓ ↓
④家族が財産管理をする
↓ ↓ ↓
➄信託終了(父が亡くなる)
↓ ↓ ↓
④息子が財産を所有。
5まとめ
・従来より、後見成年制度や家族信託を担う専門家は、弁護士や司法書士が大半でありますが、昨今は行政書士も担っています。
・信託の多くは「信頼できる家族」で、大概は、子供や兄弟姉妹がというのが多いものです。
そのような人がいない場合は、弁護士や司法書士がなることもあります。
・信託は財産だけが対象なので、身上保護も考えるには、任意後見制度を取り入れることで可能となります。
・勿論、信託財産が少ない場合や、全くない場合は家族信託は不要ですし、生前贈与の形で分けてあれば又、不要です。兎に角、普段から、所有者である父母らが若いうちから財産・身上についての話し合いをすることがいかに重要であるかという事は、今に始まったことではないのです。
0コメント