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「懝律判断・外国人犯罪」📖

この本は、令和3年に初出版されたものですが、行政書士で入管の仕事をしている人にはとても参考になります。入管のテキストにはないことが一杯載っていますので、副読本としても、必携であると言っても言い過ぎではありません。


多分に、入管の仕事をしている人で、これを読んでない人は少ないと推測ができるほどの本ですから、入管の仕事をする上での本として、かつ入管を始める段階での本として超お勧めです。



只、行政書士及び入管申請取次の仕事の案内としての各種書籍にこの本が、参考文献に列挙してあるかどうかは分かりません。つまり、同業者でも、いや同業者だからいい本は教えたくないと言うのも人の本音ですから、返って教えないとも言えます。樽俎もこの本自体、本屋に行ったからこそ見つけたのであって、出版当時の宣伝を知らなければ、もう知られていないと言うのが現実ではないでしょうか。それに、本来、専門書と言うのは、刷数も一般書籍に比べれば少ないので、余計に、時を過ぎれば、知らない人も多くなるものです。

また、著者が、検察庁出身の人である事、かつ、「捜査研究」と言う関係者向けの本に連載されたものを単行本化したものであると言う点からしても、読者層が限られてきます。それ故に、内容的には外国人犯罪に主眼が置いてありますので、そういう意味では、逆説的な事を言いますが、入管申請取次者の仕事の話候ではないとも言えます。




所で、タイトルの「懝律判断」

「ぎりつはんだん」と読みます。聞きなれない言葉ですが、法律用語です。法律辞典でも「懝律」自体が載っていないのもあります。意味は、「発生した事件に際し、どの法律を適用するのかと言う時の判断」即ち「法令の適用判断」を言います。

言い換えると、訴訟法上の言葉ですが、国語辞典として知る一般用語的な意味合いを持っているのでもあるかのように,この言葉が法律辞典や法律書に出ているのがあまりにも少ないのです。「法令の適用」と言い、その具体的な事件へのの当ては目を誤っているときに際し「法令違背」という表記がなされています。つまり、「法令の適用」は、裁判においての最大の過ちをしてはならない基本事項なわけです。ドイツ法律語では、Anwendungと言うとあります。

この「法令の適用の誤り」「法令違背」は、(当然ながら)判決の内容において重大な変更にまでも意味を持ち、「判決をするについての誤り」と「訴訟手続きをするについての誤り」とい二つの側面があります。しかも、この「法令の適用の誤り(法令違背)」は、「法令の尊守(Befolgung)」に対する観念として重要でもあります。刑事訴訟法上では、377条。380条に出てきます。民事訴訟法上では、193条2-1.402条・405条

誤りがある時は、難しい言葉ですが法学的に言えば『事実認定に対する実体法の適用の誤り』といいます。



イラストを盛り込んだりして、読みやすい構成でもあるのがいいです。



※「懝律判断・外国人犯罪」巣が正行著(東京法令出版)

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行政書士 井原法務事務所
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